皆さん、こんにちは。福岡県福岡市を拠点に、土木工事や外構工事を手掛けている大神建設株式会社です。
福岡に暮らす私たちにとって、ゲリラ豪雨災害は遠くの出来事ではありません。毎日使う道路の冠水、住宅や店舗への浸水、緊急停止するエレベーター……日常は一瞬で不安に変わってしまうのです。
だからこそ一人ひとりの備えに加えて、街の側から未然に守る仕組みづくりが欠かせません。その要を担うのが土木です。雨水を適切に貯め、逃がす整備が、被害を防ぎます。
大神建設は福岡の土木工事を通じて、こうした予防の現場を支えています。本稿ではゲリラ豪雨災害の仕組みと被害を抑える土木の役割、そして当社で身につくスキルと成長できる環境をご紹介します。
■福岡県内のゲリラ豪雨による災害の現状と傾向
◆そもそもゲリラ豪雨って何?
ニュースやSNSでよく目にする「ゲリラ豪雨」は、実は気象庁の正式用語ではなく、予報上は「局地的な大雨」「短時間強雨」と表現します。雨の強さの目安としては、1時間50〜80mmは「非常に激しい雨」、80mm以上は「猛烈な雨」に区分され、内水氾濫や土砂災害の危険度が急激に高まります。
この言い回しが一般に定着したのは2008年頃のこと。夏季に各地で局地的大雨が相次ぎ、同年の新語・流行語大賞でも取り上げられました。
そして1時間80mm以上・3時間150mm以上・日降水量300mm以上といった強い雨の発生頻度は、1980年頃と比べておおむね2倍に増えています。短時間強雨の増加は、内水氾濫や中小河川の急激な増水を招きやすく、福岡県もその影響を受けています。
ちなみにニュースでも「線状降水帯」という言葉がよく用いられますが、これは発達した積乱雲が帯状に連なり、同じ場所で数時間にわたって非常に強い雨が降り続く現象です。規模の目安は長さ50〜300km、幅20〜50km。狭い範囲に短時間で降る「ゲリラ豪雨」という呼び方よりもスケールが大きく、広域に深刻な被害をもたらしやすいのが特徴です。
◆福岡市はゲリラ豪雨にどう対応している?
福岡市は浸水常襲地区を抽出し、雨水幹線の拡径・新設や調整池の整備を軸とする「雨水整備Doプラン」を継承・更新しながら対策を計画的に推進してきました。時間雨量59.1mm(10年確率)を目標とする抜本対策と、側溝改良などの局所対策を併走させる方針が示されています。都市化で舗装面が増えると雨水が浸透せず、一気に流出して排水能力を超えるため、流域全体で、「ためる・にがす・しみ込ませる」設計が重要となります。
・2025年8月:県北~福岡都市圏で線状降水帯/道路冠水・家屋浸水が広域で発生
8月9日からの前線活動により線状降水帯が発生。福岡市や宗像市などで道路冠水・家屋浸水、土砂災害(がけ崩れ)の通報が多数寄せられ、県は災害対策本部を設置しました。公表資料では床上・床下浸水の報告、道路・河川施設被害が確認されています。
・2023年7月:久留米市での道路冠水・床上浸水
梅雨前線に伴う短時間強雨が集中し、市街地や中小河川流域で冠水・浸水が相次ぎました。7月19日時点で床上329件・床下328件の住家被害を市が公表。主要道路の通行支障とともに、都市域の排水能力の限界が数字で可視化されました。その後の集計では被害件数がさらに増加しています。
・2021年8月:八女市を含む筑後地方で大雨特別警報/土砂災害・中小河川の氾濫リスクが最大に
前線停滞により警報級の雨が続き、8月14日に八女市へ大雨特別警報(レベル5相当)が発表。自治体と住民に最大級の警戒行動が求められました。顕著な大雨に関する気象情報と併せ、筑後地方で土砂災害・中小河川の氾濫リスクが急激に高まった事例です。
福岡県では、「福岡県防災ポータル」で最新の雨量・河川水位・土砂災害警戒情報を確認でき、公式アプリ「ふくおか防災ナビ・まもるくん」は警戒情報をプッシュ通知で受け取れます。ふだんから通勤・通学路や自宅周辺の危険度は確認し、雨が降ってきたらその場で情報をチェックする習慣が安全確保につながります。
■ゲリラ豪雨が引き起こす主な被害とメカニズム
ゲリラ豪雨はどのように発生し、どんな事態を引き起こすのか。被害とメカニズムを知っておきましょう。
・都市型水害(内水氾濫)
街の排水が追いつかないと、交差点やアンダーパス、地下出入口のような低い場所から水がたまります。支流が増水して水門を閉じると、雨水が街側に残りやすく、マンホールの噴き上げや地下への流入が起きがちです。
対策としては、排水管の整備(雨水幹線の拡径)、一時的に雨水をためる調整池、ポンプの早めの運転と最適化などが挙げられます。
・河川の氾濫(越水・溢水)
山に降った雨が一気に集まると水位が急に上がり、下流の水位が高いと流れが鈍ってあふれやすくなります。川幅が狭い場所や橋の下、川底に土砂や草木がたまった区間は詰まりやすくなります。
対策としては、河道の拡幅・浚渫と護岸の強化を下流の排水計画とセットで進めることです。
・土砂災害・斜面崩壊(がけ崩れ・土石流・地すべり)
雨が続くと斜面に水がしみ込み、地面がゆるんで崩れやすくなります。住宅の背後や切土・盛土の斜面はとくに注意が必要で、濁った湧水が増える・小石が落ちる・新しいひびが入る・樹木が傾くといった前兆が見られることがあります。
対策としては、土壌表面の保護だけでなく、斜面の中の水を抜く排水対策まで併せて行うのがポイントです。
これらは複合して起こるため、流域全体で「ためる・にがす・しみ込ませる」を組み合わせ、地下空間や重要施設は止水・排水の運用まで含めて備えることが肝心です。
■被害を小さくするために——土木が担う基盤整備
そんなゲリラ豪雨の被害を防ぐのが、土木の役目です。実際にどのような対策が効果的なのか、解説します。
・雨水排水システムの整備(内水対策のポイント)
市街地では、まず太い排水ルートを増やすことが基本です。雨水幹線の拡径・新設で流す力を底上げし、地下貯留槽や調整池でピーク時の流量をいったんためることで、短時間の集中降雨にも対応します。
学校や公園の地下を活用した多目的貯留、幹線に直結する大型貯留は効果的で、あわせてポンプ場の能力増強と遠隔監視・自動運転を整備し、降雨予測に応じて早めに立ち上げる運用にすることが求められます。事前放流・事前運転など運用ルールの見直しまでセットで行うのが理想的です。
・河川改修工事(流下能力の回復と強化)
川を広げて、つまる場所を減らす工事です。河道の拡幅や河床の浚渫(しゅんせつ)で断面積を確保し、流れが鈍りやすい区間を解消します。護岸は補強して越水を防ぎ、川底が削られるのを防ぐ対策も同時に行います。また、橋の下の狭窄区間の見直しや、高水敷(洪水時に水が流れる河川敷)の整理を進めるなど、細部の改善も水位上昇の抑制に効きます。
・斜面安定対策工事(見えない地下水を抜く)
コンクリートやモルタルの吹付け、法枠・アンカーなどの補強に加えて、水抜きボーリングや集水井で斜面内部の水位を下げれば、雨で緩みやすい状態を防げます。地表の水を逃がす側溝の手当て、水の出口の処理、緑化などによる浸食の抑制を組み合わせ、地質・地形に合わせて最適化します。
・都市部の浸透・分散対策(LIDの積み上げ)
LID(Low Impact Development=低影響開発)は、透水性舗装や雨庭、浸透桝、雨水タンクなどを使って、雨水をその場でしみ込ませ・ため・ゆっくり流す分散型の雨水管理です。大雨時の流出ピークを抑えます。街や家庭で実施し、面として浸透させると幹線や調整池の負荷が下がり、流出のピークを遅らせることで内水リスクを抑えられます。
・地下空間・重要施設の止水・排水運用(弱点への直撃を防ぐ)
路面を流れた水が階段やスロープから地下へ集まると、下水の水位上昇で逆流も起きやすくなります。まずは止水板・防水扉の事前閉鎖で入口からの流入を遮断。出入口ごとに初期流入を減らします。同時にポンプを早めに起動し、非常用電源で停電時も排水を継続。逆流防止弁や配電盤の高所化で設備の被害も抑えます。
■大神建設では「未来の街」を守る仲間を募集しています
大神建設では、雨水幹線や調整池、河川改修、斜面対策など、福岡の安全に直結する社会基盤整備に携わっています。現場ではベテランと若手が同じ目線で議論し、工程や手順をオープンに共有する企業文化が根づいています。
キャリアアップのサポートも手厚く、重機オペレーターの国家資格「1級建設機械施工技士」「2級建設機械施工技士」の取得を積極的に支援しています。受講・受験にかかる費用の会社負担、取得時の奨励金、取得後の資格手当といった制度を整え、努力が昇給・賞与に反映される運用です。未経験者でも土木作業員(施工技能者)として基礎から学べる教育体制があり、測量・出来形・品質管理などの「現場力」を実地で身につけられます。
また、家族手当・子ども手当・出産祝いなどの福利厚生も充実。チーム単位の人員配置ではそれぞれが得意なスキルを活かし、現場の安全・効率・品質を備えた運営を徹底しています。
土木作業員(施工技能者)の社会的価値は、インフラの老朽化とゲリラ豪雨の多発に始まる気候変動が進むこれからの時代に確実に高まります。資格やスキルを積み上げることで、キャリアも給与も着実に上がっていきます。
学歴・経験は問わない実力主義です。福岡の雨に強い街づくりは、地道な土木工事の積み重ねで実現します。私たちと一緒に、地域のインフラを整え安心を生み出す仕事に踏み出してみませんか?